こんにちはAI Shiftの友松です。3/17(火)-3/19(木)の3日間で言語処理学会第26回年次大会が行われました。本ブログでは大会全体の雰囲気を伝えられればと思います。
大会概要
今大会は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行への対策として、当初予定されていた茨城大学水戸キャンパスでの実施を中止し、オンラインでの開催となりました。運営の皆様も苦渋の決断だとは思われますが、早急な決定に感謝いたします
オンライン開催に伴い、いくつか中止になってしまったものもありました。
- 招待講演
- チュートリアル
- スポンサーイブニング
- 現地懇親会
- ポスター賞の選出
参加者数(事前登録者数)が919名, スポンサー数が58団体, 投稿件数が396件と過去最大規模のNLP2019に匹敵する規模の会議になったようです。
オンライン環境にはZoomが使用されました。
口頭発表, オープニング, クロージング, 招待論文セッションでは「ウェビナー」, ポスターセッションでは「ミーティング」という機能を使用して行われました。
オンラインでのコミュニケーションにはSlackが用いられ運営からの各種連絡や発表者の発表告知, オンライン懇親会の交流用のchannelが作られたり活発に活用されていました。
オープニング
オープニングでは、本大会のコンセプトやオンライン開催に伴う変更点が共有されたり、本大会の統計情報の発表、アナウンスなどが行われました。
口頭発表
口頭発表ではウェビナーの機能を使い発表が行われました。各セッションに座長の方がいて、zoomの機能である挙手ボタンを押すと質問ができる形式でした。口頭発表では7セッション並行で開催され180件もの発表がありました。個人的には対話・質問応答, 知識獲得・情報抽出などを中心に見させていただきました。
ポスター発表
ポスター発表では各発表者ごとにzoomの部屋が割り当てられて発表が行われました。合計216件もの発表が行われており、オンラインのポスター発表は当初難しいのではないかと考えていましたが、各々工夫した方法でポスター発表が行われていました。
弊社及び親会社のサイバーエージェントからも2件の発表が行われました。発表の内容につきましては以下の記事をご参照ください。AI Shiftからの発表ブログでは議論内容や発表者視点でのオンラインポスター発表の良かった点、悪かった点をまとめています。
- 発表告知ブログ
- P6-27 チャットボット運用における新規問い合わせ候補の抽出
○戸田隆道, 友松祐太, 杉山雅和 (AI Shift) - P6-14 スタイル制御を考慮した多様な広告文生成
○川本峻頌 (明大), 張培楠 (サイバーエージェント)
オンライン懇親会
オンライン懇親会では同時に100人以上つないでの懇親会が行われた模様です。自分自身は参加できなかったのですが、全体の懇親会から新たにzoomの部屋が作られて小懇親会が行われるなどオンラインならではの光景があったようです。
クロージング
クロージングでは各種表彰と次回開催地の発表などが行われました。以下受賞者の皆様です。(全てメモしきれておらず把握している限りを載せております。公式から公開されましたらこちらの情報もアップデートします。)
優秀賞(6件)
- D1-4 擬似タグと線形移動ベクトルを用いた単一モデルによる擬似モデルアンサンブル
- ○桑原亮介 (東大), 鈴木潤 (東北大), 中山英樹 (東大)
- D3-2 テキストを通して世界を見る:機械読解における常識的推論のための画像説明文の評価
- ○Diana Galvan-Sosa (東北大), 西田京介 (NTT), 松田耕史 (理研/東北大), 鈴木潤, 乾健太郎 (東北大/理研)
- D4-1 大規模疑似データを用いた高性能文法誤り訂正モデルの構築
- ○清野舜 (理研/東北大), 鈴木潤 (東北大/理研), 三田雅人 (理研/東北大), 水本智也 (フューチャー/理研), 乾健太郎 (東北大/理研)
- P4-12 会話ドキュメントに対する発話単位系列ラベリングのための自己教師あり事前学習
- ○増村亮, 庵愛, 高島瑛彦 (NTT)
- P6-2 鏡映変換に基づく埋め込み空間上の単語属性変換
- ○石橋陽一, 須藤克仁, 吉野幸一郎, 中村哲 (NAIST)
最優秀賞(2件)
- B4-5 ベクトル長に基づく自己注意機構の解析
- ○小林悟郎 (東北大), 栗林樹生 (東北大/Langsmith), 横井祥, 鈴木潤, 乾健太郎 (東北大/理研)
- D1-2 超球面上での最適輸送に基づく文類似性尺度
- ○横井祥, 高橋諒, 赤間怜奈, 鈴木潤, 乾健太郎 (東北大/理研)
若手奨励賞(13件)
- D2-5 JParaCrawl: 大規模Webベース日英対訳コーパス
- ○森下睦 (NTT), 鈴木潤 (東北大/NTT), 永田昌明 (NTT)
- D4-2 文法誤り訂正のための自己改良戦略に基づくノイズ除去
- ○三田雅人, 清野舜 (理研/東北大), 金子正弘 (首都大/理研), 鈴木潤, 乾健太郎 (東北大/理研)
- F5-3 多言語極性辞書の構築とその包括的評価
- ○岩本蘭 (慶應大), 金山博 (日本IBM)
- G4-1 Data Augmentation Technique for Process Extraction in Chemistry Publications
- ○Yuni Susanti, Hikaru Yokono, Hiroaki Yoshida (富士通研)
- P1-19 回答の根拠を解釈可能な機械読解
- ○西田光甫, 西田京介, 斉藤いつみ, 浅野久子, 富田準二 (NTT)
- A3-1 出力と文脈の自己相互情報量に基づく文脈翻訳
- ○杉山普, 吉永直樹 (東大)
- A4-2 見出し生成の忠実性の改善
- ○松丸和樹, 高瀬翔, 岡崎直観 (東工大)
- B4-2 文脈を考慮した単語ベクトル集合からの単語領域表現
- ○山内崇史, 梶原智之, 荒瀬由紀 (阪大)
- B5-3 談話の削除不可能性に基づく 教師なし 談話核性分類
- ○西田典起, 中山英樹 (東大)
言語資源賞(3件)
- A4-1 小規模リソースにおける生成型要約のためのスタイル転移
- ○人見雄太, 田口雄哉, 田森秀明 (朝日新聞社), 岡崎直観 (東工大), 乾健太郎 (東北大)
- P2-2 機械読解システムの推論過程のベンチマークの構築
- ○井之上直也 (東北大/理研), Pontus Stenetorp (UCL/理研), 乾健太郎 (東北大/理研)
- P2-5 BERTed-BCCWJ: 多層文脈化単語埋め込み情報を付与した『現代日本語書き言葉均衡コーパス』データ
- ○浅原正幸, 加藤祥 (国語研)
また、クロージングでは、来年開催のNLP2021の開催場所の発表も行われました。福岡県北九州市小倉の北九州国際会議場との発表がありました。九州での開催は23年ぶりとのことです。
終わりに
今回の言語処理学会は初のオンライン開催ということで始まるまではどんな雰囲気になるのかなど心配していましたが、結果としてはかなり満足度の高いものでした。オンライン参加に対しての発表準備や感想については言語処理学会第26回年次大会(NLP2020)へのオンライン参加の記事をご覧ください。
また、AI事業本部メンバーが気になった発表についてはNLP2020参加報告(勝手にクロージング編)をご覧ください
運営の皆様も新型コロナウイルスの流行から短い準備期間の中で素晴らしい年次大会を準備していただきありがとうございました。
AI Shiftでは6月に熊本で開催予定のJSAI2020にも参加予定で、開発を行っているツールのデモ発表を行う予定です。ぜひこちらも熊本の会場で御覧ください。